「ここで良いかな。」
「うん、大丈夫。」
森の中にある、そこだけ別の空間かのように木が生えていない草原。そこが私達の秘密の場所だった。
彼は持ってきたスコップで少し深めの穴を掘る。私が小さな苗をそこに植えれば彼は満足したように苗を眺めた。
「この苗が立派な木になる頃には私も一人前の狩人になってるかな。」
問いかけると彼は大きな手で私の頭をポンポンと撫で、優しい声で答えてくれた。
「なってるよ、きっと。」
笑顔が好きだった。温かい手が好きだった。
ずっと、この時間が続けば良いだなんてバカみたいなことだって願いたくなる。
私は彼が好きだった。
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